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2026.08.11

【特集】16年間・300回の英会話を分析してみた (3)

今回でシリーズの最終回です。前々回前回で、話題が科学技術と環境と健康に寄ったこと、テーマは深くなったのに英単語自体の難易度は変わっていないことを書きました。

最後は、この会をこれから続ける意味の話をします。
書き始めたときは答えが決まっていなくて、途中で考えが変わりました。

最初に考えていたことと、気づいたこと

分析を始めた時点で、私はこう書くつもりでした。「翻訳AIがどれだけ発達しても、人と議論して価値観を交換することは人間にしかできない。だから英語ディスカッションの場には意味がある。」

ただ、途中で気づいたこととして、AIは議論の相手として悪くありません。生成AIに「ベーシックインカムに反対の立場で議論して」と頼めば、そこそこ手強い相手をしてくれます。24時間いつでも、こちらの英語が拙くても嫌な顔をしない。討議の練習相手としては、正直かなり優秀です。なので、「議論そのものがAIに代替できない」という視点は捨てて、データを見直しました。

まずこれまでのマテリアル作成者担当回数について調べました。多くのメンバーが1回だけとなっている一方で、5回以上担当してくれている方も多く見られました。

次に5回以上マテリアル作成を担当した人について、活動の前半と後半で、自分が作ったテーマの抽象度がどう変わったかを見ました。

ID4という人は0.40から0.81へ。ID1は0.46から0.62へ。ID34は0.74から0.82へ。

前回、会全体の抽象度が上がったと書きました。これを「深い議論ができる人が新しく入ってきて、平均が押し上げられた」と読むこともできますが、今回の整理で「同じ人が、通い続けるあいだに自分の作るテーマを深くしていた」ということもわかりました。

ID4さんは2013年から2022年まで9年間で24回担当しています。最初のころはライフスタイル寄りの具体的な題材が多くて、後半になるほど概念的な題材に移っていく。誰かに指導されたわけではないはずです。何回も担当しているうちに自然とそうなったのだと思います。

ここでジャンルの動きをもう一度出します。

後期になるにつれてテクノロジーと環境と健康の話題が増えました。ただ実際のマテリアルを読むと、例えばテクノロジーの回が技術の話で終わっていることはほとんどありません。AIを扱った回も、結局は人がどう感じるかの話になっています。テーマの表面は時代とともに動きましたが、中心にあるものはあまり動いていません。

2025年・第286回後半「When AI Thinks Too Much」(AIが考えすぎることをどう思うか)

2022年・オンライン開催第32回「Ideal working places」(理想の働き方)

2017年・第147回前半「Relationship with friends」(友人との距離)

代替できないのは、議論のあとのほうだった

E’s Clubではワークショップの後に、希望者のみで懇親会を開催しています。
そこで、懇親会の参加者数が記録に残っている回について、平均の参加率を計算しました。

55%から79%。ワークショップが終わったあと、平均すると半分以上の人がそのまま懇親会に行っています。AIは議論の相手をしてくれますが、議論のあとに一緒に飲みに行ってはくれません。ここが代替できない部分だと思います。

書いていて、ずいぶん身も蓋もない結論になったな…とは思います。正直、英語学習の記事として、最後が「飲み会」でいいのか?という迷いもありました。

でも16年分のデータを全部見て、いちばん動かなかった数字がこれでした。参加人数は一時期最大で100人以上から、コロナ後は最小で10人ちょっとまで減り、テーマの中身は入れ替わり、対面からオンラインになった時期もあった。そのあいだ、懇親会の参加率だけは半分を切っていません。

このサークルをどう使うか

英語を話せるようになりたいだけなら、AIを相手に毎日30分やるほうが効率がいいと思います。それは本当にそう思っています。

E’s Clubに来る本当の価値があるとしたら、マテリアルを自分で作る側にまわったときと、ワークショップのあとに残ったときかなと思っています。

マテリアルを作ると、自分が何に興味があるのか嫌でも分かります。これまで216人が作ってきた585テーマは、その人が何を面白いと思ったかの記録でもあります。

またワークショップのあとに残ると、その日盛り上がった話題を深掘りすることもできます。
同年代のメンバーしかいないので、英語勉強法や仕事の悩みまで色々なことを話すことができます。これはAIとの練習ではできません。

まとめ

この3回で書いたことをまとめると、こうなります。
話題は時代とともに動いた。英語の難易度は動かなかったが、扱う内容は深くなった。そして人が育った跡と、議論のあとに残る習慣が、16年ずっと残っていた。

データを取る前は、もっと英語学習の技術的な話になると思っていました。実際に分析をしてみると、出てきたのは、最終的には「人」の話でした。
(もう少し書きたいこともあるので、派生する内容をまた今後書いていこうと思います。)

最後になりましたが、この特集ブログを読んでE’s Clubにもし少しでも興味を持たれたら、一度見学に来てください。いつでもお待ちしています。