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2026.08.01

【特集】16年間・300回の英会話を分析してみた (1)

こんにちは。E’s Club スタッフです。

E’s Clubでは、ディスカッションに使うマテリアルを参加者が持ち回りで作っています。テーマを決めて、背景になる材料を集めて、質問をいくつか用意する。2010年当時からずっとこのやり方です。

最近、私はその資料を全部引っ張り出して数え直しました。きっかけは自分がマテリアルを作成するときに「最近ネタが偏ってない?」と思ったからです。偏っているかどうかは、数えてみれば分かる。

そういうわけで数えてみたら、ディスカッションテーマが585件 (~第300回まで、オンライン開催含む)、質問文が約4,700件あることがわかりました。マテリアル作成を担当してくれた人は延べ200名超です。せっかく全部並べたので、偏りだけでなく、16年で何が変わったのかも一緒に調べてみました。

結果を今後数回に分けて書きます。今回は「E’s Clubでは何を話してきたか?」についてです。


テーマの内訳

まずテーマ全件を11のジャンルに振り分けました。

一番多いのは仕事とキャリアの話で109件、全体の18.6%。次がライフスタイル、その次が教育と言語です。上位3つで46%を占めます。

この結果を見たとき、私は少しつまらないなと思いました。社会人が集まる会なんだから、仕事の話が多いのは当たり前です。数えるまでもなかったかもしれない… でも面白くなったのは、これを年ごとにばらしてからでした。
同じ585件を、年別の構成比にしたものがこれです。

色が毎年入れ替わっているのが分かると思います。全体で均すと「仕事の話が多い会」ですが、年単位で見るとかなり動いている。
前半の8年と後半の8年で比べ直すと、動きの方向がはっきりします。

増えたのはテクノロジーとAI(6%→11%)、環境とサステナビリティ(1%→6%)、健康と医療(4%→6%)。減ったのは社会と政治(11%→8%)、教育と言語(14%→10%)、仕事とキャリア(21%→16%)です。
硬めの時事ネタが減って、科学技術と環境と健康に寄った。数字だけ見ると、そう読めます。

ただ、これを「議論が軽くなった」と読むのは違うと思っています。減った社会・政治の枠が消えたわけではなく、テクノロジーや環境の話のなかに社会の論点が入り込んだ、というのが資料を実際に読んだ印象です。

時代の言葉

もう少し細かく見るために、前半8年と後半8年で使われた単語を統計的に比べました。キーネス検定という手法で、どちらかの時期に偏って出てくる語を機械的に洗い出します。

前期の側に tobacco、facebook、abe、halal、mars が並んでいます。喫煙規制の議論が盛んだった頃、Facebookが日本で伸びていた頃、安倍政権の頃、ハラル対応が話題になった頃、火星探査が続いていた頃。そのまま2010年代前半の日本の関心事です。
後期には covid、cashless、sustainable、digital、cannabis、tattoo。こちらも見たままです。

ちなみに前期側の children、parents、women の頻度が高いのは、当時のマテリアルで家族や女性の働き方をよく扱っていたからです。後期にこの手の語が減ったのは、テーマが減ったというより、扱い方が個別の論点に分かれたからだと見ています。ここは数字だけでは判断がつかないので、印象の域を出ません。

ちなみに新出語がテーマに初めて現れた年を調べると、こうなりました。

ChatGPTが公開されたのは2022年11月です。E’s Clubでマテリアルになったのは2023年の第239回後半で、公開からおよそ5か月後でした。ニュースを追いかけて教材を作っている人が、少なくとも1人はいたということです。

また「在宅勤務」の初出が2012年というのは、私も数えるまで気づきませんでした。第35回(2012年)の前半テーマがそれです。コロナ禍の8年も前に、誰かが「家で働くことについて話しませんか?」というマテリアルを作っていました。

この回が象徴的だった

数字の話ばかりだと退屈なので、実際の例をいくつか挙げます。

2013年・第53回後半「Facebook・Twitter」

SNSをどう使うかがまだ真面目な論題だった頃です。今読むとやや驚くような内容ですが、当時はSNSの使い方について本気で議論していました。

2020年・オンライン開催 第1回 「COVID-19」

対面が止まった直後の回です。テーマはCOVID-19時代ならではのもの。ただし、通常生活が戻った今でも通用する題材です。

2020年・オンライン開催 第2回「Sustainable Development Goals」

その次の回がSDGsでした。感染症の話の翌週に環境の話をしている。2020年に環境ジャンルの構成比が19%まで跳ね上がったのは、この時期の連続がかなり効いています。

テーマ選びに困ったら、最近のニュースから選ぼう

16年分を並べて、私が引き出した結論はこれです。

盛り上がった回、資料の作り込みが厚かった回、参加者の反応が良かった回を見ていくと、そのときの新しい話題を扱った回が多い。逆に、いつでもできるテーマ(旅行、食べ物、趣味)は、悪くはないけれど記録に残る回になりにくいかなという印象です。

もちろん反論はあると思います。時事ネタは背景知識の差が出るし、政治の話はタブー視される風潮です。それでも私は、迷ったら最近のニュースから選ぶことを勧めます。英語の教材を自分で選ぶときも同じです。単語帳より、先週のニュースを1本読むほうが話す材料になると思います。

次回の予定

英語を学ぶことは世界を知ることだ!、というきれいなまとめ方もできるのですが、それだと当たり前すぎるので今回はやめておきます。

次回は「どう変わったか」の話をします。16年でテーマがどんどん抽象的になっていったのに、使われている英単語の難しさはまったく変わっていませんでした。この2つがずれている理由が、たぶんこのシリーズで一番実用的なところです。

では、また次回お会いしましょう。